「カーブを1秒早く曲がるよりも、5分早くに家を出なさい」
小学1年の頃、4月1日生まれの私は、何をやるにしてものんびりした、時間を気にすることがない子どもでした。
周りの子どもたちに比べたら全てが遅く、スローペースでした。
ですが怒られたことも叱られたこともないまま2年、3年と進級しました。
4月1日生まれということで、他の子どもたちに比べてハンディキャップがあるだろうと、先生も両親も諦めていたのかもしれません。
そんなときに車好きの叔父から教わって、冒頭の言葉を覚えました。
車関係の仕事をされている立派なかたの言葉だとか。
今になって出典を見ると三本和彦さん(モータージャーナリスト)のようです。
私はながく一人っ子だったので、叔父や叔母が遊び相手になってくれた幼少期を過ごしました。
みんなが温厚なのか、平和主義だったのかわかりませんが…叱られたことがなく、私にとって幼少期はそんなふうに緊張感がない環境でした。
今思うと競争心を持たない、他者と自分を比べることに疎い人たちの中で育った気がします。
ですが「スローペースでいると先生に目をかけられて面倒だな」と思ったことは覚えいます。
遅くても怒られないけど、誰かを待たせて結局急かされるのです。
今でも急ぐことは苦手です。
そんな私に変化を与えたのは、先ほどの叔父に教えらた言葉でした。
「そうか、急ぐより準備をすることに意識を向ければいいんだ」
と、マイペースな私はベクトルを変えて"準備をすること"だけに工夫をするようにしました。
4年生に進級した頃に他のクラスメイトと同じ進捗、5年生になる頃にはやることが早くなっていて、準備の成果が現れていました。
そして4年前から今日までの4年間、締め切りのために準備をして臨んだ最後のカーブを今日曲がり、執筆の制作物の納品が本日ようやく終わりました。
カーブを曲がり終えて感じたのは…
50年前のトレーニングの成果が今になって50年後に実った、という思いです。
種まきしてから芽が出るまでにもマイペースでした。
4年間執筆のことを毎日考えなかった日はなかったと思います。
書く内容を考える準備が仕事なので、準備がなくては成果は実りません。
過去を変えることはできませんが、未来のための準備はできます。